初心者さんと中級者さんに捧げる植物管理のあれこれ

植物は地上の生き物の一つです。動物ほどシビアではありませんが、適切な世話を欠くと枯れたり腐ったりして、死んでしまいます。
植物の管理というのは、それほど高度な知識や技能を必要とするものではありません。基本ポイントを押さえて、少しだけ植物に目を向ける時間を作っていただければ、大抵の植物たちは長く付き合ってゆけるものなのです。
今回は、観葉植物の初心者さんへ植物管理のポイントを、少し慣れてきた中級者さんには出会いがちな悩み対策を、ご案内します。

目次

植物管理のポイントとは(初級者向け)

観葉植物ってどんな世話や手入れをしたらいいのかわからない・・・!
そんな初心者さんでも大丈夫。
植物管理のポイントは、そうたくさんありません。まずは4つのポイントを覚えてください。難しいことではありません、観葉植物も植物であることに違いはありません。基本は、植物がどのように生きているか、です。

植物に必要な三大要素の一つ、日光。植物は日の光を受けて光合成を行い、自分が育つための栄養を作り出します。
多かれ少なかれ、植物は日の光を必要とするわけですが、その度合いは植物によって異なります。大体は、その植物がもともと生育していた環境に対応しています。
室内で楽しめる植物の場合、必要な光の量は以下の4つに大別できます。
①日光が良く差し込むところ
②明るいが直接の日光は当たっていないところ
③明るい人工灯の下
④やや暗い人工灯の下

①日光が良く差し込むところ
窓際で、他に遮るもののないガラス越しの日光は、多くの室内観葉にとって良いものと言えます。ただ、夏になって日差しが強くなると、葉焼けを起こしたり弱ったりすることが多いので、直射日光は避けてください。

②明るいが直接の日光は当たっていないところ
例えばレースカーテンやすだれ越しのように、日光を直接受けるのではなく、和らげた光が届く場所が、これに当たります。この場所は大半の植物に最も適した場所と言えます。

③明るい人工灯の下
蛍光灯などの強めの光源が頼みで、日光が入らない場所となります。このような場所では、耐陰性がある程度高い植物でなければ、弱ってしまいます。

④やや暗い人工灯の下
ワット数の低い白熱球が使われている場所や、現在では弱めのLEDランプで照らされている場所がこれに当たるでしょう。このような環境では、耐陰性が極めて高い植物でも、長く過ごすと弱ってしまいます。

日光の量、ひいては明るさというものは、植物にとって大きな条件となるのです。
ここから、この4つのパターンに合う植物をご案内しましょう。自分が興味を持った植物がどの程度の光を必要とするものなのか、あるいは植物を置く予定の場所の光の具合によって、どんな植物が適しているのか、見てみてください。
もう植物と共に暮らしている方でしたら、自分が育てている植物にはどの程度の光が適しているか、確認してみてくださいね。

 

日光が良く差し込むところに置きたい植物

直射日光にも耐えて葉焼けしにくい植物を挙げます。

セローム
蘇鉄
シマトネリコ
フィカス・デコラ
フェニックス・ロベエニー
ボトルツリー
アガベ・アテナータ
ユッカ
フィカス・ウンベラータ
ホンコン・カポック

 

上記の10の植物たちは、日光が大好きで、日差しを受けて機嫌よく伸びていきます。このうち、セロームやフィカス・デコラ、ユッカ、ホンコンカポックなどは、耐陰性も備えているので、置き場所を選ばないタイプの植物と言えそうです。

 

明るいが直接の日光は当たっていないところが好きな植物

このような場所はほとんどの植物が好むところです。基本的には何を置いてもよいでしょう。

特に、このような場所だと葉の発色が良くなる植物を中心に、ご紹介します。

オーガスタ
ドラセナ・コンシンネ
ベンジャミン
マッサンゲアナ
ベンガレンシス
ポニーテール
サンスベリア
パキラ
ガジュマル
シーグレープ

このうち、マッサンゲアナ、ポニーテール、パキラ、ガジュマルは、耐陰性も備えた植物です。

 

やや暗い人工灯の下でも多少頑張れる植物

日光が入らず、頼みの電灯もあまり明るくない、そんな植物にとっては厳しい場所でも、ある程度は耐えてくれる植物たちも、います。でも、やはり弱ってしまうので、週の半分くらいはレースカーテン越し程度の日光を当ててあげてくださいね。

スパティフィラム
テーブルヤシ
オキシカルジューム
アスプレニウム
シュロチク
アグラオネマ”レッド・アニャマニー”
ドラセナ・アオワネッキー
シンゴニウム
ケンチャヤシ
ポトス・パーフェクトグリーン

光の次は水。植物に欠かせないものの1つですね。
水やりの基本は、土が乾いてきたらふんだんに与え、そしてしっかりと水切りをすること。これができれば、ほとんどの植物とは長いお付き合いができます。
それでは、実際に水やりをする時のポイントを紹介しましょう。
①どんな時に水をあげるものなのか
②どのくらい与えればよいのか
③適した時間帯

 

どんな時に水をあげるものなのか

土が乾いたら水をあげる。簡単なようですが、どんな様子になれば『乾いた』と判断してよいのでしょうか。

まずは触ってみましょう。土がさらさらとして、指を差し込んで見ても同様の状態であれば、『乾いている』と言えます。水やりをするのは、まさにこの時になります。

この時の状態の土の色合いをよく覚えておけば、見ただけで乾いたかどうかが判断できるようになるでしょう。

土は、乾燥している時は概ね白っぽく、濡れている時は概ね黒っぽくなります。園芸店などで、『土が白っぽくなったらお水をあげてください』と言うのは、つまり乾燥したら、という意味なのです。

でも慣れるまでは、指で土の状態を確認してからの方が無難でしょう。

土に触った時に湿っていたら、まだ水は必要ではありません。

何故水をあげすぎてはいけないのか。

大半の植物は、土が常に水を多く含んでべたべたした状態だと、根っこが呼吸できずに腐ってしまうのです。水耕栽培の可能な植物が限られていることからも見当がつくことかと思います。

また、根というと太くしっかりしたものに目が行きがちですが、実際にはヒゲのように細かくたくさん伸びた小さな根が重要です。この小さな根たちが養分や水分を吸収する仕事をしています。水気が多すぎる土の中では、この小さな根がよく育たないのです。

もちろん、水が大好きで、常によく湿った土でないと元気でいられない植物もいます。今回ご紹介している植物たちは乾燥に強いタイプが多いのですが、そのような水を好む植物には、水を切らさないよう気を付けてあげてください。

逆に水気があまり好きではない植物たち、特にサボテン類ですね、また今回挙げている中にもサンスベリアやアロエなどは、乾燥した状態を3~4日続けてから水をあげるようにしたほうがいいでしょう。

光の状態よりもシビアなのが水の状態です。それぞれの植物に適したタイミングで水やりを行うようにしましょう。

どのくらい与えればよいのか

どんな時に水をあげればよいかわかったら、次はどのくらいあげればよいか、です。

これは簡単です。鉢の底から水が染み出してくればOK。

ですので、水をあげる時には、水が出てきても構わないような場所や準備をしておきましょう。

ベランダなどの室外で行うときは、遠慮せずにたっぷりと水を注いであげましょう。鉢の底から水が流れ出てくるまで、優しく鉢全体に満遍なく水が回るように。

室内で行う場合は、風呂場や洗面台、流し台などで行うのが良いのですが、大きな鉢など動かしにくいものは、鉢受け皿に水が出てくるまでが目安です。

水をあげる時にはあげすぎではないかと思うくらいたっぷりあげますが、それにも理由があります。

土に一旦水を完全に通すことで、土の中の空気を入れ替えるのです。

また、鉢の中に張り出したすべての根に水が回ります。

これが健やかな根の成長のポイントで、結果、上の植物が元気よく伸びてゆけるのです。

たっぷりと水をあげた後は、染み出たお水を捨てることを忘れずに。

ベランダなど外にある鉢物に水をあげる時は、勾配が低くなっていて水がたまるような場所に鉢を置きっぱなしにしないことです。前項で水気の多い状態が根に良くないことは説明しましたね。水をたっぷりあげた後は、しっかりと余分な水を切って払うことが重要です。

 

適した時間帯

外の環境に準じた場所、例えば窓際やベランダなどでは、水をあげてはいけない、という時間帯があります。

それは日差しが強く、気温が高くなる夏の季節の日中です。

このような高温で日差しが強い時間帯に水をあげてしまうと、土が含んだ水が蒸発して、葉が蒸し焼きになってしまうのです。

夏場でなくても、日中の水やりは控えた方がいいでしょう。

水をあげるのに適した時間帯は早朝か、夕方です。

自然の状態の植物たちは、晴れた日でも、早朝には朝露、晩方には夜露という形で、水を受け取っています。ストレスなく植物たちが水を感じることができるでしょう。

 

知って得する小技2本

これができれば初級者脱出!の小技を2本ご紹介しましょう。

霧吹きシュシュシュ

観葉植物育て方ガイドなどで、『葉水』という言葉が出てくることがあると思います。これは『葉』に『水』を与えるという意味で、具体的には、葉に霧吹きなどで水をスプレーすることです。

観葉植物は、葉が命。いや、観葉植物だけではなく植物全部がそうですが、葉の美しさを楽しむ観葉植物は、その意味合いが殊更に大きくなります。

戸外ならば時々風に吹かれることもありますが、室内の葉にはそれがないため、どうしても埃がつきやすくなってしまいます。

埃がつくということは、葉の上に邪魔ものを乗せているということです。決して多くはない室内の光を、更に弱めてしまうわけです。更に、埃はダニなど害虫の棲み処ともなります。百害あって一利なし、なのが葉につく埃です。

葉に水をスプレーすることで、埃を吹き飛ばし、葉を清潔な状態に保つことができるのです。

また、観葉植物の大半は熱帯の産、高温多湿の地からやってきています。土中の水より、大気中の水分が大好きだったりします。葉だけでなく、幹や茎にも惜しみなくスプレーしてあげてください。本来の環境より近くなることで、植物は元気になります。

2つ3つの鉢を育てている程度でしたら、霧吹き1つで用が足りるでしょうが、気が付いたらたくさんの鉢、全部にスプレーするのは大変で・・・という方には、加圧式の園芸用スプレーがお勧めです。DIY店などで、手動加圧式のものであれば、1000円から1500円前後で購入することができます。扱いも簡単なので、試してみてくださいね。

 

いつもの時間で

水やりの時間帯について先に述べましたが、植物にストレスをかけない水やりとしては、同じ時間帯に水やりをする、というのもポイントです。人間でも、食事は毎回同じ時間に摂るのが望ましいのは知られていますね。植物も同じことなのです。

自分が植物の世話のできる時間に合わせて、同じ時間帯で水をあげられるようにしましょう。

 

気温

次のポイントに参りましょう。植物の成長を左右する3つ目のポイントは、気温です。

これまでにも申し上げてきましたが、観葉植物は熱帯産のものが多いです。温帯の日本では、夏はともかく冬は無理、というものがほとんど。

それでも植物は適応能力がけっこう高く、多くは室内であれば冬越しできますし、ものと地域によっては戸外でも冬を耐え抜くこともあります。

寒さに強い植物と弱い植物を把握して、自分の環境で問題ないものを選んでください。

 

0℃までいけるツワモノたち

出身地を考えたら、まさにツワモノ。0℃まで耐えられる植物たちをご紹介します。但し霜にはご用心。戸外なら、屋根のかかる場所に置きましょう。

ユッカ
ホンコン・カポック
ワイヤープランツ
シュロチク
ストリレチア・レギネ
キダチアロエ
オリーブ
アイビー
シルクジャスミン
フィカス・デコラ

 

5℃までならまあまあ

0℃までは無理だけれど、霜が降りない程度の寒さまでなら耐えられるよ、という植物たちはこちら。

オーガスタ
オリヅルラン
モンステラ・デリシオサ
ショウナンゴム
セローム
アスプレニウム
フランスゴム
ホヤ・カルノーサ
ゴールデンポトス
ベンジャミン

玄関など気温が低くなる場所ではなく、居室であれば大体過ごせるでしょう。

 

寒いのダメです

10℃以上は欲しい、そんな寒がりたちには配慮してあげてくださいね。

ポトス・マーブルクイーン
スパティフィラム
ドラセナ・ワネッキー
サンスベリア
マッサンゲアナ
ドラセナ・”ソングオブインディア”
アンスリウム
アレカヤシ
シンゴニウム
ディフェンバキア

 

空気

植物に必要な『光』『水』『温度』は押さえましたか?

それでは最後に重要で見落としがちなポイントを伝授いたしましょう。

それは『空気』です。

人間は、澱んだ空気の中では不快な思いをするばかりでなく、病気になったりします。植物も同じように、空気の流れのない、澱んだ場所では弱っていってしまうのです。

風通しを良くして、いつでも爽やかな空気が流れているようにしてあげてください。窓を開けたり、換気扇を回すのもいいですね。ベランダは構造上空気の溜まりやすいものも多いので、置く場所に気を付けましょう。

 

ここまで、観葉植物初心者さんに、まず知っておいてもらいたいポイントを紹介いたしました。この4点がしっかりできるようになれば、初心者卒業です。

慣れてきたら出てくるお悩み解決(中級者向け)

鉢も種類も増えて、お世話も板についてきた、グリーンライフを満喫・・・と言いたいところですが、基本の手入れだけでは対処しようのない悩みが出てきたら、中級者と言えるかもしれません。

そんなお悩みの代表的なものを3点にまとめて解決していきます。

肥料はあげた方がいいの?

園芸店にも、DIY店にも、植物のための薬品やら肥料やらのコーナーがあります。野菜を作るときには先に肥料を撒くというし、やっぱり観葉植物にも肥料って必要なのかな・・・と思う方は多いでしょう。

植物が育つには、光や水や温かさだけではなく、やはり土中の栄養が必要です。買ってきたばかりの鉢の土には含まれていた栄養も、時がたてば植物に吸い尽くされてしまいます。

『やっぱり肥料は必要だ!』と慌てないでください。肥料は適切に与えれば植物の力になりますが、迂闊な与え方をすると逆に枯らしてしまうこともあるのです。

ここでは、肥料についての問題を取り上げましょう。

 

適切な肥料のために

肥料はどんな時に与えるべきでしょうか。

①葉や茎など、全体に元気がない時

②花を見たい時

こんな時には肥料の出番です。

続いて与え方や注意点を案内していきましょう。

③適切な与え方

④適切な量

⑤適切な時期

 

葉や茎など、全体に元気がない時

植物が元気でいるためには、以下の成分が欠かせません。

窒素(N) リン酸(P) カリウム(K)

これらは肥料の三大要素と呼ばれ、圃場などではこのバランスがとても重要です。

それぞれの成分の役目を説明しましょう。

窒素は、葉や茎を育てる成分で、葉緑素の元になります。意外に思われるかもしれませんが、植物にもタンパク質が必要です。窒素はタンパク質を作るのに必要な成分です。

リン酸は、花や果実を育てる成分です。細胞質になります。

カリウムは、根や茎を育てる成分です。植物全体に関わるもので、病害虫への抵抗力を上げます。

元気のない植物には、これらの成分がバランス良く配合された肥料が適しています。

お勧めの商品は以下です。

※()内は配合比でN:P:Kの順

サン化成肥料(8:8:8)
プロミック(10:8:8)
エードボールCa (12:12:12)

このような、偏りなく成分が配合された肥料は、大抵の植物に効果のある万能選手です。

 

花を見たい時

観葉植物でも、スパティフィラムやアンスリウムなどのように、花が楽しめるものがあります。花を咲かせたい時には、先に成分の説明をしましたが、リン酸(P)が多く含まれているものが向いています。

以下の商品がリン酸(P)の配合比率が高いものです。

マグアンプK( 6:40:6)
ハイポネックス原液(6:10:5)
花工場原液(5:10:5)

 

適切な与え方

肥料には固形のものと液体のものがあります。

固形のものは、土の上に、根元から遠ざけるようにして置いてください。根に近すぎると、肥料の強さに負けて、根が弱ってしまいます。

液体のものは、水で希釈して鉢の表面全体に行き渡るようにあげてください。

 

適切な量

これはそれぞれの肥料によって違います。

商品によって成分の配合比や濃度が異なるので、パッケージなどに書かれている給与量をきちんと守ってください。

少な目はまだ良いですが、多くを与えるのは厳禁です。強すぎる肥料は植物を枯らしてしまうので、気を付けてください。

 

適切な時期

肥料にも、与えて効果のある時期と、効果がない、または害のある時期とがあります。

年間を通じた、植物の姿を描いてみるとわかりやすいでしょう。温かい季節、植物がぐんぐんと育つ時期には、肥料は効果的です。一方寒くなってくると、植物の活動は低下して休眠状態に入ります。肥料を必要とすることもないので吸収されずに、土中にたまった肥料成分が根を傷めてしまうこともあります。

地域によりますが、与える時期は、5月から10月頃までが目安です。

固形のものなら2ヵ月に1度ほど、液体なら1ヵ月に1回ほどで。固形のものは、寒くなったら取り除いておきましょう。

 

肥料のタブー

肥料は成分が濃縮された栄養剤、言ってみれば薬品です。投与を間違うと、毒にもなってしまうので、気を付けましょう。

以下の5点は要注意ポイントです。

 

過ぎたるは及ばざるが如し

人間で考えてみましょう。病状を早く改善したいからといって、薬をたくさんのんだりしてはいけないことはわかりますね。処方された通りの量を、処方された間隔で服用するのが、治療にとって最適です。

植物に与える肥料も同じこと。ドリンク剤のような即効性を求めてはいけません。商品に書かれた規定量と投与間隔を守りましょう。

肥料は栄養成分が濃縮されています。与えすぎると、土中の成分濃度が高くなってしまい、浸透圧の関係で根が栄養を吸うことができなくなるだけでなく、逆に土に植物の水分が吸い取られるようなことになってしまいます。結果、枯れてしまうのです。

薄目・少な目くらいでちょうどいい、と考えましょう。

 

カンフル剤ではありません

元気なく弱々しい植物は、根から弱っていることが多いです。肥料不足では、新しい葉が出てこない・色が良くないなどの成長の鈍化はあっても、見てわかるほどに弱ることはないのです。

弱っている根には、肥料はむしろ悪影響しかありません。

どうして植物が弱々しくなっているのか、先に原因を突き止めることが大切です。水の過不足や、成長しすぎで鉢に根が詰まっている、長いこと日光に当たっていないなど、思い当たることを検討してみてください。

それでも肥料をあげてみたい、という時は、液体のものを通常よりずっと薄めて、葉水の要領で葉や茎にスプレーしてください。こちらも吹き付けすぎは厳禁ですよ。普段葉や茎から濃度のある栄養分が入ってくることはないので、濃すぎると焼けてしまいます。ごくごく薄いものであれば、吸収して活用してくれるでしょう。

混ぜるなキケン?!

肥料はいくつものメーカーから、いくつもの種類が販売されています。特に用法で指定されていない限り、他の肥料や薬品と混ぜて使ってはいけません。成分が濃縮されているので、場合によっては危険な化学反応を起こすこともあります。絶対にしないでください。

 

ストイックというわけではないけれど

もともとの自生地が養分の少ない痩せた土地柄の植物は、栄養が多すぎると具合が悪くなってしまいます。代表格はサボテンですね。肥料の働きだけではなく、受ける側の植物が肥料を必要とするものかどうか、確認しておきましょう。

 

引っ越しの後は片付けがすんで落ち着いてから

この後の項で植え替えについて説明しますが、植え替え直後の施肥も厳禁です。

植え替えると、どうしても根を傷めてしまうものです。特に水や養分を吸い上げる役割を持つヒゲ根が傷んだり減ったりします。弱々しくなった植物に肥料を与えてはいけないのと同じで、まずは根が回復してからにしましょう。

最低2週間は控えた方がよいですよ。

 

植物向けドリンク剤・アンプル

肥料と共に、植物向けとして店先に並べられているアンプルのパック。先を折り切って差し込むだけでいいなんて、希釈の面倒もなさそうだし、こんな簡単なアイテムがあるならこれだけでいいんじゃない?と思った方。

ちょっと待ってください。パッケージをよく見ると、『活力剤』と書いてはないでしょうか。

これは肥料ではなく、植物を元気づける活性化薬品です。

植物を元気づけるなら肥料と同じではないのか、と思われるかしれませんが、活力剤には、肥料のようにしっかりと栄養成分が入っているわけではないのです。肥料というのは、国の規定によって栄養成分(窒素・リン酸・カリウム)を一定量以上含んでいなければなりません。活力剤は、多少肥料の成分が含まれていても、ごく薄くて規定を満たしてはいません。

あるいは、肥料の三大要素以外にも植物に必要とされる微量の要素(鉄や銅などなど)が含まれています。少し欠けているかもしれないものを補うことで、植物を活性化するのが、アンプルの役目なのですね。

次に、2タイプの活力剤を案内します

肥料成分が薄く入っている活力剤

『全植物用 植物活力液』アンプル
『全植物用 活力液』アンプル

アンプルはそのまま鉢などに挿して使います。

微量要素を含む活力剤

メネデール(ボトル)
HB-101(ボトル)
リキダス(ボトル)

ボトルタイプのものは使い方説明書に従って、所定の濃度に希釈して使用します。植え付け時などに与えます。

 

いずれも肥料ではないので、必要に応じて、肥料が必要なところではきちんと肥料を与えましょう。

 

植え替え~植物のお引越し

観葉植物に限ったことではありませんが、鉢で育てている植物は、長い間に鉢の中がみっしりと根でいっぱいになってしまいます。そのままでは根の健全さは維持できません。

そこで、植え替えが必要となってきます。

植え替えの時期、実際の植え替え方法、コツ、そして小技について説明しましょう。

 

植え替え時期

植え替えは植物にとっては試練です(初心者さんにも試練かもしれませんが)。ですので、植え替えが必要な状態であるかどうかを、まずは見定めることです。

ポイントとしては以下の点。

・2年以上同じ鉢のまま

・鉢と、上に伸びた植物が、明らかにバランスが悪い

・鉢の底から根が覗いている

・水を与えると、しみ込まずにあふれてくる

どれが引っかかっても、植え替えが必要です。

多くの観葉植物は、購入時には適したサイズの鉢であるかもしれませんが、問題なく元気に育っていれば、2年ほどで根の方もよく伸びて鉢いっぱいになってしまうのですね。

まずは購入からおおよそ2年が経過している鉢から、植え替えを進めてみましょう。

 

植え替えの実際

植え替えには、以下のものを用意します。

鉢の底に敷くための石(軽石なら尚好)

新しい土(『観葉植物の土』などで可)

植え替え先の鉢

剪定鋏

シャベル

割りばし(古いもので可・同程度の太さの丈夫な棒状のものであれば何でも良い)

 

6-2-1. 鉢から株を抜き取り、根を整える

 

鉢から株を抜きます。無理に引っ張らず、優しく抜いてあげてください。ぎっしり詰まった感じで抜けない時は、鉢の縁を軽く叩いて、振動で鉢から株をはがすようにします。

抜き取ったら、根を手で優しくほぐします。古い土を取り除きますが、無理に取る必要はありません。根を傷めないように、軽くほぐす程度で十分です。

枯れた根も除いておきましょう。根は白っぽいのが健全です。黒っぽくなったものはダメになってしまった根なので、きちんと取り除きます。引っ張ったりちぎったりせずに、鋏で丁寧に切り取ってください。

植える

用意した鉢に植えます。

鉢には水抜け用の穴が開いているので、石や土がぽろぽろこぼれ落ちないように、先にネット状のものを敷いておきましょう。それから軽石あるいは鉢底用の石を敷きこみます。鉢の底が見えない程度の厚みで良いです。これは排水を良くするためのものです。

それから、新しい土を3センチくらいの厚みになる程度に入れます。

そして、植物を入れます。

植物を入れたら、傾いたりしないように気を付けて、根の間に土を入れます。

細かい根の間に土を十分に入れるのは大変ですが、鉢を軽くたたくなどして、根気よく優しく埋めていきましょう。

鉢と植物の間に不足なく土を入れるには、割りばしを使います。鉢の縁に沿わせるようにして、突いていきます。

土の量は、鉢いっぱいにするのではなく、上端から数センチ下程度までにしておきます。鉢いっぱいに土を盛ってしまうと、水が流れ落ちて鉢からこぼれてしまうからです。

水を与える

土が入ったら、たっぷり水をあげます。水をあげながら、植物の幹を持って、満遍なくゆすりましょう。そうすると、根の隙間に土が入っていきます。

新しい土を使っていれば、水はすっと引いていくはずです。

水をあげた後、土が沈み込んで想定より土面が低くなってしまったら、土を足します。

 

養生

植え替えが終わったら、後はしっかりと養生してあげましょう。植物にとって、植え替えは大手術です。看病するような心積もりで適切な措置をとり、見守ることが大切です。

それでは、適切な措置について、説明します。

①直射日光を避け、風を当てないようにする

1週間ほどは、レースカーテン越しの優しい光の当たる場所に置いてあげましょう。風が当たると弱るので、気を付けて。

②水は控えめ、葉水たっぷり

根はまだ本来の働きができません。土のほうには水を与えすぎないようにしてください。乾いてからやる程度に。それでも水は必要です。こまめに葉や茎にスプレーしてあげてください。

③肥料厳禁

上の項目でも注意しているように、根が働いていません。肥料を与えたりすると、むしろ枯れる原因となります。

④置き場所を変えない

環境があちこちと変わると、それだけで疲れてしまいます。1週間は同じ場所に置いてあげましょう。その後は元の場所に戻すなりして、普段の管理状態に移行できます。

 

植え替えのコツ

せっかく今まで元気な姿を楽しめていたのに、植え替えしたらダメになっちゃった・・・なんてことのないように、植え替え時に気を付けなければならないポイントをお教えしますね。

それほど難しいものではありません。どれも、『ああなるほど』と腑に落ちる理由があります。

 

時期を選ぶ

植え替えポイントでは一番大切な点でしょう。5月中旬から9月中旬、つまりほどほどに温かい時期に行うのが良いです。観葉植物が熱帯地方を始めとする、高温多湿の地域からやってきていることを忘れてはなりません。できるだけストレスのない時期に行うべきです。

時期が過ぎてしまっていたら、無理に植え替える必要はありません。次の時期を待ちましょう。

 

新しい土を使う

古い土をそのまま使うことはお勧めできません。養分はなくなり、長年の使用で土の粒が細かくなって水はけも悪くなっているからです。

そこで新しい土を用意します。

土は、それぞれの植物に適した種類のものを自分でブレンドするのが最も望ましいのですが、これはマニアのレベルの話になるでしょう。

『観葉植物の土』といった名前で市販されているもので十分ですので、新しい土を用意してあげましょう。どのメーカーのものでも問題はありません。

ただ、サンスベリアなどの、水気を好まない植物の場合には、そちら向けの土が良いです。『アロエ向け』などと書かれたものを探してください。

 

転居先のサイズ

これまでの鉢のサイズよりも、一回り大きいものが最適です。

目安としては、これまでの鉢の径より3センチほど大きいもの。

『せっかく植え替えるのだから、当分植え替えしなくても済むように、特大の鉢を用意しました!』というのは、植え替え初心者が陥りがちな罠です。

何故大きすぎる鉢がいけないのかというと、根と土の量のバランスが悪くなるから。土が含んだ水を根が回収しきれず、鉢の中がじめじめした状態が長く続くことになります。初心者さん向けの解説にありましたね。鉢の中の水気が多い状態が続くと、根が腐ってしまうのでした。

また、根は障害物に当たると枝分かれして伸びていく性質がありますが、鉢が大きすぎるとなかなか鉢の内壁に届かず、根の生育が不十分になってしまいます。

面倒がらずに、2年に1度は植え替えてあげましょう。土の入れ替えにもなるので、病気も出にくくなりますよ。

観葉植物に使われている鉢は、規格が決まっています。1号ないし1寸などと数字を付けて呼ばれています。『寸』は昔の日本の長さの単位で、約3センチです。鉢は号や寸に応じて、3センチずつサイズが上がっていきます。

それまで植わっていた鉢の径が15センチなら、割ることの3で、5号鉢または5寸鉢です。用意するのは6号鉢ということになりますね。

『置き場所の都合上、鉢をこれ以上大きくしたくないのだけれど』という場合には、植え替えの際に伸びた上部を刈りこんでサイズを整え、根の方も思い切って整理してから、前の鉢か同じ径のものに植え替えると良いでしょう。

植え替えは植物にとっても人間にとっても大作業ですが、放置したままは植物にとって良いことではありません。

思い切ってやってみてください。紹介した手順を良く読み込んで、それに従って進めていけば、大丈夫。あなたの可愛いグリーンのために、頑張ってみましょう。

植え替え・・・できない!

鉢が大きすぎて、植え替えどころか動かすのも一苦労、という方もおられることでしょう。

そんな時には、”増し土”という裏技?があります。

植え替えせずに、土だけ入れ替える方法です。

鉢の上から、5分の1くらい、土を取り除きます。根を傷めないように、十分に用心して行うこと。

土を除いたら、植え替えでも出てきた新しい『観葉植物の土』を代わりに入れていきます。

元の高さまで土を入れたら、水を回して全体に馴染ませましょう。

これでOK!植物も元気を取り戻すでしょう。

とはいえ、疲弊した土を活力のあるものに交換するだけの、応急的なものであることには違

いありません。根詰まりが引き起こす問題の解決にはならないので、いずれは植え替えてあげてくださいね。

虫コロリ

植物との付き合いが深まっていくほどに、避けて通れないのが病気や害虫の問題です。

病気に関しては、素人では判断しかねるものが多いので、ここでは取り上げません。

害虫については、見ればわかるものがほとんどなので、頑張って対策しましょう。

コバエ

コバエとは、ごく小さなハエの総称です。主にショウジョウバエ・ノミバエ・キノコバエを指しています。

これらは植物そのものへ害を与えることはありませんが、衛生的に良いとは言えません。

発生源も駆除方法も違うのですが、見分けて対応するのは困難です。ですので、これら全般に効き目のある方法をご案内しましょう。

環境対応型

①成虫は掃除機で吸い取るのが手軽です。

②鉢の表土3センチ程度をかきとる。キノコバエの卵が産みつけられていることがあります。かきとった後は、赤玉土などの有機成分を含まないもので覆います。

③鉢がすっぽりと浸かる大きな入れ物を用意して、水で満たします。そこに鉢を10分ほど沈めておきます。すると卵や幼虫が浮いてくるので、すくって捨てましょう。

殺虫剤使用

お勧めの殺虫剤は以下のものです。

『ダントツ水溶剤』(顆粒・水に溶かして使用)

『ダントツ粒剤』(粒・株元に散布したり土壌に混和する)

『コバエジェット』(缶スプレー)

『オルトラン粒剤』(粒・株元に散布したり土壌に混和する)

 

①希釈した『ダントツ水溶剤』を、鉢の表土に満遍なく与えます。水やりの時が良いです。これで土中の卵や幼虫を退治できます。2、3回ほど行いましょう。『ダントツ粒剤』を表土に撒くのも効果的です。これは臭いがないので、室内でも使用しやすい殺虫剤です。

②『コバエジェット』をペットボトルの中にスプレーし、その中に水を入れて希釈したもので水やりをすると、①と同等の効果が得られます。

③『コバエジェット』を鉢の表土にスプレーします。卵と幼虫を退治できます。

④鉢の表土に『オルトラン粒剤』を撒きます。卵と幼虫を退治できます。

元から断つ

虫が発生してからでは、対応が後手に回って余計な手間がかかります。発生しないような環境作りにも目を向けましょう。

コバエは種類によりますが、生ごみや腐敗物、水気の多いところなどで繁殖します。適度な温度と湿度で発生しやすく、梅雨の時期などは要警戒です。卵を産んでから約1週間でハエになるので、一旦わき始めると次々に世代が続いてしまいます。

まずは生ごみや腐敗物が放置されていないか確認しましょう。コバエが集まっているような場所をよく調べると、付近に必ず繁殖地となりうるものがあります。

ごみ類だけでなく、鉢受け皿やバケツなどにわずかたまったままの水も、要注意です。湿った場所が好きなので、常に余分な水気は払っておくよう心がけましょう。植物の根の環境にも良いことです。

有機肥料は虫の好む栄養素も高いので、植物に与えた後にコバエが発生しやすいです。了解の上、対策を取りましょう。

土に水気を多く持つよりも、こまめな葉水のほうが虫が発生しにくく、植物もご機嫌になります。室内に適度な湿度を保つのにも効果があるので、生活サイクルにぜひ取り入れてみてください。

ハダニ

農作物の重要害虫として良く知られるハダニは、観葉植物にとっても大敵です。

成虫でも0.5mmと極めて小さいため、単独での発見はとても困難。葉の色が薄くなったり白っぽくなるなど、被害が表に現れてきてから気が付くことになります。そのまま放置すると、葉をやられてしまうので、枯れてしまうこともあります。

ハダニは昆虫ではなく、蜘蛛の仲間です。従って、ハエなどの昆虫用の殺虫剤では効果がありません。殺虫剤を使うときには、クモやダニに効果があるものを使用しましょう。

ハダニは葉の表面ではなく、裏側につくことが多いので、おかしいな、と思ったら葉の裏を見てみてください。

環境対応型

ハダニが葉の裏につくのは、雨や露を避けるためです。つまり、水が弱点です。葉水を、葉の裏にも当たるように与えていると、予防ができます。

ついてしまったら、植物をまるごと水につけるなどして洗い流しましょう。

大きな植物で動かしにくいものは、濡らした布などで丁寧に拭き取ってあげてください。

殺虫剤使用

お勧めの殺虫剤は以下のものです。

『キンチョール』(缶スプレー)

ベニカマイルドスプレー』(プラスプレー)

『ダニサラバフロアブル』(液体)

『バロックフロアブル』(液体)

スプレータイプのものは、直接葉裏にスプレーしてください。液体のものは説明書に従って希釈したものを噴霧します。『キンチョール』は身近で手軽なのでお勧めです。

ベニカマイルドスプレー』は天然素材の薬剤で、有機JAS規格(オーガニック栽培)で使用可能な食品成分から作られていますので、室内散布向けにはお勧めです。

『ダニサラバフロアブル』『バロックフロアブル』は農産物、いわばプロ向けだけあって効果は確かですが、臭いが気になるので、庭に植えたものや外に置いてある鉢などへの対策に使用すると良いでしょう。

元から断つ

水気を避けて繁殖するということは、乾燥した状態が好みだということです。ハダニは、乾燥かつ高温の状態が続くと発生するようになります。

なので、予防策としては、葉水を与えることに尽きます。見えている側だけでなく、裏側にもたっぷり与えましょう。葉が込んでいて葉水が届きにくい場合は、少し刈り込んでください。風通しのよさも大切です。

コナカイガラムシ

葉や茎に、変に白い埃がついているなあ・・・と思ったら、それがコナカイガラムシです。名前からわかるようにカイガラムシの仲間で、普通のカイガラムシが成虫になると硬い殻をまとって動かなくなるのと異なり、白っぽいふわふわしたものに包まれて動き回ります。このため一旦発生すると周囲にも広がっていくので、大変な困りものです。

環境対応型

水で洗い流すのは、葉につく害虫の基本駆除方法と言えるでしょう。屋外で高圧水洗をかけられるような環境であれば、それもよいですが、葉を傷めないように水圧には気を付けてください。

殺虫剤使用

お勧めの殺虫剤は以下のものです。

 

『キンチョール』(缶スプレー)

『ベニカDX』(缶スプレー)

『ダントツ水溶剤』(顆粒・水に溶かして使用)

『オルトラン粒剤』(粒・株元に散布したり土壌に混和する)

 

『キンチョール』はここでも活躍です。缶スプレー類は、噴射距離が近すぎると凍害を起こすので、説明書に書かれている距離を守って使用しましょう。

『ダントツ水溶剤』も使用説明書に従って希釈して噴霧します。また希釈液を水やりとともに与えると、予防効果が見込めます。

『オルトラン粒剤』は、退治した後に根元に撒くと、予防効果があります。

最後に

 

観葉植物入門から、その次の段階まで、ざっとご案内いたしました。一番多くありがちなケースを取り上げています。植物育成の基本と考えてくださって良いと思います。

もう一度振り返って、簡単にまとめてみましょう。

 

植物管理のポイントとは(初級者向け)

1. 植物は好む明るさが異なるが、概ねカーテン越しの日差しが好き

2. 水はあげすぎない。表面が乾いてから、たっぷりかけ流してしっかり水を切る

3. 冬越しは室内で

4. 風通しを良くする

 

慣れてきたら出てくるお悩み解決(中級者向け)

5. 肥料は与えすぎに注意

6. 植え替えは2年毎

7. 常備殺虫剤は『キンチョール』と『ダントツ』

 

大半のトラブルは、今回取り上げたポイントで解決すると思います。一番大切なのは、日頃からよく植物を見ていること。異変に気付くのが早ければ早いほど、対応も楽になります。動物のように気づきやすいアプローチはくれませんが、植物もちゃんとメッセージは発信しています。それを受け止めることができるようになれば、あなたもグリースマスターですね。